第4回 中編【療育の前にいいたいことがある!】

第4回 中編【療育の前にいいたいことがある!】

第4回 どの国で療育を受けても自閉症そのものが治るわけではない。(中編)

ふたつ目。アメリカにいって良かったか? 自分の家族も引っ越すべきか? そんなことはないと思う。アメリカは車社会なので、自閉症の子を扱いやすいのは事実。で、話を戻すと、自閉症や多動症の子は日本の狭い道だって思い切り走るし、電車に乗るのも大変。そういう意味で車社会のアメリカの方が生活しやすかったというのはある。

 

ただそれをいうんだったら、日本の親もペーパードライバーをまず改善した方がいいと思う(笑)。おもしろくって、日本のお母さんってペーパードライバーとITオンチがとても多いんだけど、自分の苦手は治さないで、子供の苦手だけを療育で治そうとする。「まずは親が療育を受けて車運転できるようになったらどうですか?」といっている。親が運転できてPCとタブレット使いこなせる方が、下手な療育より手っ取り早い。

 

つぎの点として、アメリカ人はトータルで見るとアバウト。寛容っていう言い方もあるし、おおざっぱとも言える。だから、許容範囲も広いので、こっちも気負わなくていいところがある。あと、自閉症という言葉も浸透しているから、何かあっても、「この子自閉症でしょ。だいじょうぶ、だいじょうぶ。心配しなくていいよ」って言ってくれる。自閉症の子が社会的に過ごしやすい環境なんだね。

アメリカ人は良い意味でアバウトだから、うちの子がプログラムに従わなくても決して無理強いしない。「ま、いっか。じゃ、ゲームやろう」って遊んでくれる。それに比べて、日本の療育担当者はとってもきまじめで100%マニュアル通り進めるんだよね。子どもが泣き叫んでも遂行しようとする。ある放課後デイでは、療育の一貫として、子供が泣き叫んでいるのに大きな音がするトイレの乾燥機に手をつっこませると聞いた。それってもうただの拷問じゃない。そういう意味からすると、柔軟性のあるアメリカ人のセラピストは良かった。

 

療育の一番の論点は、プログラムの良し悪しではなくて「誰がそれをやっているか」ということが一番のポイント。がっちゃんがお気に入りのキレイなお姉さん担当者が毎日、1対1で相手をしてくれたという楽しい想い出がたくさんある。結局「何をするか」ではなく、「誰と関わるか」なんだよね。旅行でどこへ行ったかより、誰と行ったかの方が重要でしょ?

 

つまり療育に価値があったんじゃなくて、楽しいお気に入りのセラピストさんと過ごせたことが、がっちゃんにはとっても良かった。アメリカのセラピストは基本的に、高収入に結びつくキャリアを目指して学歴があるから、ある程度しっかりした、できる人がやっている。そしてなぜか女性はみんな美人。「きれいなおねえさんと毎日楽しい時間を過ごせたね」ががっちゃんの成功体験になっている。

 

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