第3回 後編【療育の前にいいたいことがある!】

第3回 後編【療育の前にいいたいことがある!】

第3回 全ての問題の土台は、親の心のなかにある(後編)

自閉症に生まれたことをかわいそう、不幸だと思うのは、まさに親の価値観、視点だよね。多くのおかあさんは、子どもに障害があることが悩みだと思っているけど、よくよく話を聞いてみると、実はおかあさんの内面の問題であることも少なくない。自閉症の子どもがかわいそうなのではなくて、自閉症を受け入れられない自分のプライドやコンプレックス、自分の子ども時代の体験やトラウマなどが根底にあるわけよ。

 

確かに悩みの入口は、発達障害の子育てかもしれないけど、突っ込んで話を聞いてみると、おかあさんが抱えている心の問題が引き金になっている場合が多い。だから常にその悩みはどちらに属しているかを考えるべき。

 

例えば、赤信号なのに道路に飛び出るといった危険な行動をするのは、子どもの問題。それはそれでなんらかの対策が考えられる。でも、おかあさんが子どもの障害を受け入れられなくて消化できないことは、おかあさん自身しか解決できない問題なんだよね。多くは自分自身の親との関係などに根ざしている場合が多いね。

福祉の世界に入ってからたくさんのおかあさんと面談してきたけれど、おかあさん自身とその親との関係に問題があると、必ず自分の子どもを見る目に影響する。だから子供の悩み相談の前にまず、「ご自分のご両親とどういう関係でしたか?」と聞くようにしている。自分の親との関係のバランスが良ければ、自分の子どもに対してもバランスの良い見方ができると思うの。

 

子育ては、全てがバランスなんだよ。土台のバランスが悪ければ、何を積み上げていっても不安定になるだけ。だから、全ての問題の土台は子どもじゃなくて、親の心のなかにあるってこと。そのうえに障害が乗っかって来たことで、よりいびつになってしまっただけの話。「障害」は本人がもっている負の要素もポジティブな要素も、その両面が早い時期にあぶり出されてしまう。子どもが障害をもっていても、夫婦が仲良ければその関係に「ひび」が入ることなんて決してない。だからその家庭に起きているほとんどの問題は、「子どもの障害とは関係ない」と強く言いたい。

 

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