
第1回 あわてるな! 落ち着け!(後編)
人間の価値観っていうものは、とても狭い経験に基づいているものだよ。これまでたくさんの保護者と面談してきて俺はそう感じる。多くの人は、地元で育って、同じ学校で同じような環境の友達と付き合って、就職しても付き合うのは同じ部署の人。子どもを生めば、5〜6人くらいのママ友グループを作ってお茶会をする。住んだ場所、仕事、出会った人。どれも範囲が狭い。その狭い範囲だけの視点で物事を見て、落胆したり落ち込んだりしているんだよね。世界には、もっといろいろな人がいてさまざまな生き方をしている。「あなたのすごく狭い視野や常識に囚われるな」。そういうこと。
その次が世間体。「世間が受け入れてくれない」って言うおかあさんがいるけど、世間の人は別にあなたのことも子どものことも気にしていないし、どっちでもいいわけ。あなたが思っているほど、みんなはあなたに興味がない。だから、世間体より「その子にとってのベストが何なのか」を考えるべき。もし周りに嫌なことを言う人がいたら、友達としての価値はない。それなのにどうしてそんな友達をつなぎとめておくことに必死になるのかわからない。日本人はしがらみが好きだからね。嘆いている親の方に覚悟が足りないだけ。決断力も行動力もない。
つまり、障がいをもっている子どもが大変なんじゃなくて、決断できない親が大変だということ。自分の力量不足を子どもの障害のせいにしているだけだよ。
子どもの障害が不幸をもってくることなんてない。子どもが障害をもって生まれたことで夫婦仲がうまくいかなくなって離婚したという話を聞くけれど、それまで問題が表面化していなかっただけで、子どもとは関係ない。障害はすべてをあぶりだすから、それまで隠れていた離婚という問題が少し早く現れただけ。何か不幸なことが起きるたびに子どものせいにするのは間違っている。
ではもし自分の能力なり器が不足していると思ったらどうするか? その時は能力のある人に任せちゃおう。全部一人で抱え込む必要はない! というわけで、自分の子供の発達障害であわてているところがあったら一つアドバイス。あわてない、あせらない、一度落ち着こう。そしてアイムに見学にいこう!(笑)